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暦年贈与について

更新日:2023.08.16

はじめに-暦年贈与とは

年間110万円の贈与税の基礎控除を利用した贈与方法が暦年贈与です。

110万円以下であれば贈与を受けても非課税になることから、相続税対策に有効とされています。

今回はこの暦年贈与について、対象となる人やなぜ相続税対策となるのか、活用する際の注意点をお伝えします。

 

贈与税のしくみ

まず贈与税について説明します。

贈与税は、1月1日から12月31日までに個人から無償で譲り受けた財産に対してかかる税金です。

不当に相続税を逃れようとする行為を防止する意味で、相続税を補完する役割があります。

 

贈与税の課税には2つの方式があります。「暦年課税」と「相続時精算課税」で、暦年課税方式は通常使用される方式です。

相続時精算課税方式は、要件を満たした場合に選択できる制度で、2,500万円まで贈与税が猶予され、贈与してくれた人が亡くなったときに相続税と合わせて計算するという制度です。

通常使用する暦年課税には、基礎控除という制度があり、年間の贈与金額から110万円を差し引くことができます。つまり、年間110万円以下の贈与であれば税金はかかりません。

 

<贈与税の計算式>

【贈与税=(年間で受け取った贈与額-110万円)×税率】

 

(2)暦年贈与の対象となる人

暦年贈与は誰に対しても行うことができます。

ただし、贈与税を支払うのはもらう人なので、あげる人が110万円以内の財産を渡しても、もらう人がその1年間で合計110万円を超える贈与を受けていれば、超えた分に税金がかかります。

1年間で受け取った財産が110万円を超えた場合は贈与税の申告が必要です。

また、贈与税がかかる財産は現金に限りません。

現金以外の場合は、受け取ったときの評価額で税金の計算を行います。

 

(3)なぜ相続税の対策になるのか

暦年贈与は相続税の節税対策として利用されます。

少しずつでも財産を移動させることで、相続税の負担が軽くなるためです。さらに、暦年贈与は他の贈与税非課税制度と併用できるのも特徴です。

併用できる制度は、住宅取得資金贈与、教育資金一括贈与、贈与税の配偶者控除、結婚・子育て資金一括贈与です。

 

住宅取得資金贈与

2022年1月1日から2023年12月31日までの間に父母や祖父母(直系尊属)から住宅を建てたり、買ったりする資金をもらった場合で、要件を満たすときには最大1,000万円まで贈与税が非課税になります。

贈与税の基礎控除も利用できるので、最大1,110万円まで非課税です。

ただし、この制度を利用する場合は非課税内であっても申告をしなければいけません。

 

教育資金一括贈与

2023年3月31日までに父母や祖父母から30歳未満の子や孫へ学費などの教育資金を贈与したときに、最大1,500万円まで贈与税がかからない制度です。

この制度を利用するには、金融機関等で教育資金口座の開設が必要です。

申告は金融機関を通して行います。ここでも基礎控除を併用することができます。

 

贈与税の配偶者控除

婚姻期間が20年以上の夫婦で、自宅など居住用不動産を購入する金銭の贈与をしたときに適用されます。

最大2,000万円までが非課税になり、贈与税の基礎控除110万円も併用可能です。

非課税内であっても申告が必要で、同じ配偶者では1度しか利用できません。

 

結婚・子育て資金一括贈与

2023年3月31日までに父母や祖父母が20歳以上50歳未満の子や孫に、結婚式の費用や出産の費用として贈与をした場合に1,000万円まで贈与税が非課税になる制度です。

非課税となるには、金融機関で結婚・子育て資金口座を開設し、金融機関を通して申告しなければいけません。

ここでも110万円の基礎控除が利用できます。

 

上記のような非課税制度を組み合わせることで、多額の資金を贈与できます。

相続税の軽減となるうえに、税金の負担なく、子や孫といった若い世代が必要なときに援助ができる点がメリットです。

 

暦年贈与を利用した相続税対策の注意点

ここまで説明したように、将来の相続税の負担を減らせる暦年贈与ですが、注意点がいくつかあります。

それぞれの注意点についてみていきましょう。

 

(1)相続財産への加算

暦年贈与は贈与税の基礎控除を利用して、コツコツと資産を移動させていく相続税対策です。

ただし、贈与者が亡くなって相続が発生すると、贈与を受けていた相続人は相続の発生から3年以内に受けた贈与分を相続財産に加算しなければなりません。

基礎控除額である110万円以下の贈与もすべて含みます。

相続財産に加算される贈与分で、すでに贈与税を納めていた場合は相続税から差し引くことができます。

もし、相続税よりも納めた贈与税が高いときは、超過した分の贈与税の戻し(還付)を受けられます。

相続財産への加算は、相続人が受けた贈与が対象となるため、次の方々が受けた贈与は対象となりません。

 

<相続財産への加算の対象とならない人>

・相続放棄した人

・法定相続人でない人(子の配偶者など)

・相続欠格や相続廃除となった人

 

(2)暦年贈与と認められない場合

せっかく暦年贈与で相続税対策をしても、やり方を間違えると暦年贈与と認められないケースがあります。

 

(2)-1贈与したことを相手に伝えていない

贈与は、お互いが贈与する、されることを認識しなければいけません。

例えば、親が子どもに内緒で子名義の銀行口座を作り、そこに資金を移していた場合は贈与したということにはなりません。

子どもは贈与されていることを知らないので、口座の名義は子どもであっても、実態は親の財産とみなされます。

贈与する口座は受け取る人が管理する口座にしましょう。

 

(2)-2定期贈与とみなされる

定期贈与とは、あらかじめ決めた額を分割して贈与していく方法です。

例えば、1,000万円を贈与するという書面を交わし、10年に分けて100万円ずつ贈与します。

この場合、1回あたりの贈与額は110万円以下ですが総額の1,000万円に贈与税が課されます。

暦年贈与のつもりでも、毎年同じ時期に同じ金額を贈っている場合は定期贈与とみなされる恐れがあります。

定期贈与とみなされないために、贈与の都度贈与契約書を結ぶといった対策も有効です。

 

(3)相続時精算課税との関係

贈与税には「暦年課税」と「相続時精算課税」という2つの課税方式があります。

これまで説明してきた暦年贈与は暦年課税を使用した贈与方法です。では、もう1つの「相続時精算課税」について説明します。

 

(3)-1相続時精算課税制度とは

相続時精算課税制度は、60歳以上の父母、祖父母から成人の子や孫が贈与を受けたときに選択できる課税制度です。

この制度を選択するときは、贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日の間に贈与税の申告が必要です。

相続時精算課税制度を選択後は、同じ人から贈与を受けるときはこの制度が適用され、暦年課税への変更はできません。

つまり、暦年課税の基礎控除110万円は利用できなくなります。

 

(3)-2相続時精算課税制度のメリット

相続時精算課税制度のメリットは、2,500万円の特別控除額を利用できるという点です。

これは年間の控除額ではなく、相続時精算課税制度選択後から複数年にわたって適用となる控除額の合計です。

総額2,500万円を超える贈与を受けた場合は、超えた分に対して一律20%の贈与税が課されます。

 

例えば、祖父から孫へ1,000万円の贈与をしました。

孫は相続時精算課税制度を選択し、非課税となります。

翌年、さらに1,000万円、翌々年も1,000万円の贈与を祖父から孫へ行いました。

贈与額は3年で総額3,000万円となるので、特別控除額の2,500万円を超える500万円について20%の税金が課されます。

 

このように相続時精算課税制度は、特別控除額2,500万円以下であればそのときに課税されることがないため、まとまった資金が必要な子や孫へ贈与する場合にはメリットがあります。

 

(3)-3相続時精算課税制度の注意点

相続時精算課税制度を選択すると、贈与者である父母や祖父母が亡くなり相続が発生したときに、これまで受けた贈与分全てを相続財産に加算しなければいけません。

暦年課税の場合は亡くなる3年前までに受けた贈与分を加算しますが、相続時精算課税制度は制度を選択して以降に受け取った全ての贈与が対象です。

既に納めた贈与税があれば、相続税から差し引きます。

また、相続税が発生しなかった場合でも相続税の申告を行うことで、既に納めた贈与税の返還を受けることができます。

相続時精算課税制度を選択した後は暦年課税へ変更することができないため、110万円の基礎控除は利用できません。

また、居住用宅地の評価を大幅に下げる「小規模宅地等の特例」も併用できません。

相続財産に宅地がある場合には、慎重に検討してください。

 

最後に

暦年贈与では暦年課税の基礎控除である110万円を使い、相続税の対策ができます。

しかし、将来相続人となる人が贈与を受けた場合は、相続発生までの3年間で受けた贈与は、相続時に財産に加算しなければいけません。

また、相続時精算課税制度を選択すると暦年課税には変更できず、小規模宅地等の特例も利用できない点に注意が必要です。

生前贈与での相続税対策を検討するときは税理士などの専門家に相談し、慎重に行うことをおすすめします。

 

 


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