更新日:2023.06.07
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ご親族が亡くなり、お葬式や公的な手続きが一通り終わってくると、財産分与について話し合いが始まると思います。
亡くなった方がどれだけの財産を持っていたのか
その財産を誰が相続をするのか
相続人の人数が多くなるとその話し合いも難航することがあったり、会話の行き違いなどであとから問題が発生したり、、、ということも珍しくありません。
この記事では、相続財産の分割についてまとめる「遺産分割協議書」について、進め方や注意点を中心にご紹介します。
遺産分割協議書は、亡くなられた方(被相続人)の財産をどう分けるかを相続人同士で話し合い、その内容を記載した書類です。
遺産分割協議書は相続税の申告や不動産登記、銀行での手続きなどに必要となります。
ただし、遺産分割協議書は全てのケースで必須ということではありません。
遺産分割協議書は相続の手続きにおいて非常に重要です。
しかし、全ての相続で必要というわけではありません。
遺産分割協議書が不要な場合と必要な場合を見ていきましょう。
下記の場合には遺産分割協議書は必要ありません。
① 相続人が1人の場合
② 相続税の申告が不要な場合
➂ 財産が現金や預金のみの場合
④ 遺言書がある場合
⑤ 法定相続分の割合で分ける場合
①の相続人が1人の場合はそもそも分割する必要がないので、遺産分割協議書は不要です。
④遺言書がある場合は、その遺言書に従って財産を分割するので遺産分割協議をする必要がありません。
③法定相続分の割合で分割する場合も遺言書と同じ理由から不要です。法定相続分については過去の記事「相続人について」をお読みください。
②と③は法的な手続き上必須ではありませんが、銀行での手続きや車の名義変更で遺産分割協議書を求められることがあります。
上記の不要な場合を除いて、そのほかは遺産分割協議書が必要となります。
例えば、遺言書がなく相続人が複数いる場合や、財産に不動産があり相続登記が必要な場合です。
遺産分割協議書を作成することで土地の評価が最大80%減額される小規模宅地等の特例や、配偶者の税額軽減といった優遇措置を受けることができます。
遺産分割協議書を作成するには、相続人全員での遺産分割協議が必要です。
では、遺産分割協議はどのように進めるのがいいでしょうか。相続が発生してから遺産分割協議までの手順について説明します。
① 相続人を確定する
② 遺言書の有無を確認する
➂ 相続財産を確定する
④ 相続財産の評価をする
⑤ 分割する基準を決める
⑥ 相続財産を分割する
⑦ 遺産分割協議書を作成する
①~④については別記事「相続税申告の流れについて」で詳しく説明していますので、そちらをご参照ください。
⑤~⑦が遺産分割協議の手順となります。
⑤分割する基準は相続人の間で決めることができます。
基本的に法定相続分を基に決定することが多いです。
故人の看護や介護をしていた相続人には他の相続人よりも多く分割するといったことを決めます。
分割の基準が決定したら、⑥の分割を行います。
不動産など現物を割合通りに分割できない財産の場合は、代償金などで公平になるように調整します。
代償金とは、分割割合よりも多く財産を受けた相続人から、少ない相続人へ多く受けた分を現金などで負担することです。
相続財産の分割が整ったら、⑦遺産分割協議書を作成し遺産分割協議は終了します。
遺産分割協議書の書き方については後の章で説明します。
遺産分割協議の流れについて説明しましたが、注意しなければいけない点がいくつかあります。
他の法律行為と同様に、未成年者は単独で相続人にはなれません。
法律行為であれば親権者が代理人となりますが、相続においては親権者が代理できないことがあります。
その場合、親権者は裁判所へ特別代理人の申請を行わなければいけません。
未成年者が相続人となるケースとして、親が早くに亡くなるといったことがあります。
夫婦と子ども2人(どちらも18歳未満)の家族で、父親が亡くなった例で考えます。
このとき相続人となるのは、妻と未成年の子ども2人です。
しかし、子どもは未成年のため、単独で相続人にはなれません。
母である妻が子どもの代理人となると、自分に有利なように遺産分割をする恐れがあります。
つまり、妻は子ども2人と利益が相反する立場(利益相反)のため、子の代理人となることはできず、裁判所によって選任された特別代理人が子の代理を務めます。
特別代理人の必要性は、実際に妻が子どもに不利な分割をするかどうかではなく、外形的にみてその可能性があるかないかで考えられています。
つまり、上の例で妻が子どもの代理を行い正当な分割をおこなったとしても、その分割は無効となります。
遺産分割協議を行うには協議の内容を理解し、判断できる能力が必要です。
判断能力のない相続人が行った遺産分割協議は無効となりますので、注意が必要です。
例えば、高齢夫婦と子ども2人の家族の例で考えます。夫が亡くなり、高齢の妻と子ども2人が相続人になりました。
妻は認知症を患っていて、後見人は長男が務めています。
通常、後見人は本人に代わって法律行為を行えます。
しかし、このケースでは本人である妻と後見人である長男は共に相続人となるため、利益が対立する可能性があります。
つまり、長男は妻の代理をすることができません。
このように後見人と被後見人(本人)の利益が対立する可能性がある場合は、未成年者と同様に裁判所へ特別代理人の申請を行うことになります。
遺産分割協議書を作成し、協議が成立したあとにやり直しをしたい場合には、合意解除が必要になります。
合意解除には相続人全員の合意が必要です。
民法上は合意解除によってやり直しができますが、税務においては相続人間で贈与や譲渡があったとみなされ、贈与税や所得税が課される可能性があります。
思わぬ税負担を負わないためにも、基本的に遺産分割協議書はやり直しを行わないと考えていた方がいいでしょう。
この記事では、遺産分割協議書の進め方や注意点についてご紹介しました。
次の記事では分割協議の期限や書き方などについてご紹介します。
次の記事も是非ご覧ください。
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