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相続の放棄について その①

更新日:2023.05.24

はじめに

「相続」と聞くと、皆さんはどんなイメージをお持ちになるでしょうか。

人生の中でも数回発生するもので、何かしらの財産がもらえるもの、というイメージでしょうか。

相続で受け取る財産は、プラスの財産ばかりとは限りません。

借金といったマイナスの財産も含まれます。

マイナスの財産はプラスの財産から差し引くことができますが、マイナスが多くなってしまう場合や、相続財産を処分しなければ支払えないといった問題が起こります。

そこで、相続人に用意されているのが「相続放棄」という選択肢です。

この記事では、相続放棄についてどのような制度で手続きはどのように行うのか、注意しなければいけないことは何かといったことについて説明します。

 

相続放棄とは

相続放棄とは、相続人となった人が相続財産のすべてにおいて「相続しない」と意思決定することで、民法に規定されている権利です。

借金といったマイナスの資産がプラスの資産を上回っているような場合に、相続放棄を検討します。

まずは、相続放棄の手続き期間や方法について説明します。

 

相続放棄の手続き期間について

相続放棄をするには、裁判所への申述が必要です。申述は他の相続人に関係なく、単独で行うことができます。

その期限は、自身が相続人となったことを知った日から3か月以内です。

被相続人が亡くなった日からではありません。

 

例えば、被相続人と疎遠で、亡くなった事実すら知らなかった場合、他の相続人や債権者からの通知で自身が相続人であると知ることがあります。

その場合は、この通知を受け取って事情を知ったその日から3か月後までに手続きが必要です。

 

3か月を過ぎてしまうと相続放棄ができないのかというと、事情によっては裁判所が期間の延長を認めることもあります。

ただし、仕事が忙しくて手続きが間に合わなかったというような、自己都合での理由では難しいでしょう。

 

また、相続放棄は相続が発生してから行えるものなので、発生前に裁判所へ申述しても受理されません。

相続財産に明らかに負債が多いと思われるときは、相続が発生したのち、速やかに裁判所へ申述してください。

 

相続放棄の手続き方法(必要書類や費用)について

相続放棄をするには、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所への申述が必要です。

以下では、手続きに必要な書類と費用について説明します。

必要書類は申述を行う人の相続順位などによって異なります。

 

<申述にかかる費用>

・収入印紙800円分(相続放棄する人1人あたり)

・連絡用の郵便切手(各家庭裁判所によって異なるので、WEBサイトなどで確認するとよいでしょう)

 

<共通して必要な書類>

・相続放棄申述書

・被相続人の住民票除票または戸籍附票

・相続人の戸籍謄本(発行から3か月以内のもの)

 

<申述人が被相続人の配偶者の場合>

・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

 

<申述人が被相続人の第1順位の相続人の場合(被相続人の子、孫など)>

・被相続人の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・申述人が代襲相続人(孫,ひ孫など)の場合、被代襲者(本来の相続人)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

 

<申述人が被相続人の第2順位の相続人の場合(被相続人の父母、祖父母)>

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の直系尊属に死亡している人(相続人より下の代の直系尊属に限る(例:相続人が祖母の場合、父母))がいる場合、その直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

 

<申述人が被相続人の第3順位の相続人の場合(被相続人の兄弟姉妹、甥姪など)>

・被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している人がいる場合、その子の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・被相続人の直系尊属(被相続人の父母、祖父母)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

・申述人が代襲相続人(甥、姪)の場合、被代襲者(被相続人の兄弟姉妹)の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本

 

最後に

この記事では相続の放棄を行うときの手続きについて紹介しました。

相続の放棄を行う場合には、その手続きができる期間が設けられているため、放棄したほうがよかったのにできなかった…という事態を避けることが必要です。

相続が発生した、ないしは近々相続が発生してしまうかも、というときには、是非税理士にご相談いただければと思います。

次回の記事では、相続放棄をするときの注意点や、相続の放棄をしても受け取ることができる財産について、ご紹介していきます。

次の記事も是非ご覧ください。

 


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