はじめに
身近な方が亡くなった時に発生するのが相続です。人生の中で一度でも経験する人は多いですが、はじめての人が多いのも相続です。その手続きの中でも最も大変なのが相続税の申告といえます。相続財産の評価や税金の計算はどうやって行えばいいのか不安な方もいらっしゃると思います。
ここでは、相続税の申告に必要な手続きについて手順を追いながら説明いたします。
相続税とは
相続税は、亡くなった人の財産を引き継いだ時に、その財産に課される税金です。
相続税には資産の再分配機能や、貧富差の固定化を防止する役割があるとされています。
相続税の申告期限について
相続税の申告・納付期限は、死亡した日(相続の開始を知った日)の翌日から10か月目の日です。(※期日にあたる日が土日祝の場合はその翌日が期限日)
申告だけでなく、納付もこの時までに行わなくてはいけない点に注意が必要です。もし期日を過ぎてしまうと延滞税や加算税といったペナルティが課せられる場合があります。
相続の手順1 相続人の確定と基礎控除の確認
相続人の範囲について
まずは「相続人が誰になるのか」を確認しましょう。
相続人となるのは、故人の配偶者と、故人と血縁関係がある人です。配偶者を除く相続人の順位は、1位子供または孫(直系卑属)、2位父母または祖父母(直系尊属)、3位兄弟姉妹です。
配偶者以外の相続人は、先の順位者が一人もいない時に次の順位の人が相続人となります。配偶者は必ず相続人となりますが、内縁関係は含まれません。
順位1位である故人の子供が亡くなっていて、孫にあたる子がいる場合は孫が相続人となります(代襲相続)。子供や孫がなく、父母のどちらかがいれば順位2位の父母が相続人ですが、父母のどちらもなく祖父母がいる場合は祖父母が相続人です。父母も祖父母もない場合は順位3位の兄弟姉妹が相続人となります。
相続人を調べる方法は、亡くなられた方の出生から死亡までの戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)を取り寄せて行います。転籍している場合、転籍前の戸籍謄本も調べなくてはいけません。また、相続人になる人全員分の戸籍謄本も必要になります。
相続税の基礎控除について
相続税には基礎控除という制度があります。基礎控除は3,000万円+600万円×法定相続人の数と決められています。
基礎控除額の計算
【基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)】
相続財産の総額がこの基礎控除額より少ない場合、相続税の申告は不要です。ただし、小規模宅地等の特例などを利用して基礎控除額以下になる場合には申告が必要になります。
相続の手順2 相続財産の確定と遺産分割協議書の準備
亡くなった方の財産の洗い出しをする
財産の洗い出しは相続税を計算するうえで欠かせません。財産の総額がわからなければ税額の計算ができないからです。
財産となるものは家や土地といった不動産、預貯金、有価証券、死亡保険金や死亡退職金など金銭に見積もることができるもの全てです。プラスの資産だけでなく、借金などのマイナスの資産も含まれます。
また、亡くなる3年以内に相続人が故人から受けた暦年贈与(贈与税の課税を受けない年間110万円以下の贈与)も相続税の課税に含まれます。
どういった財産があるのかをしっかり整理し、できれば目録にしておきましょう。目録にしておくことで遺産分割の協議もスムーズに行えます。
遺産分割協議書とは
遺産分割協議書とは相続人が各々どの財産を受け取るかを話し合い、その結果を書面にしたものです。決まった様式はなく、手書きでもパソコンなどを使用して作成しても問題ありません。
遺産分割協議書の内容
遺産分割協議書に必要な項目は、相続人全員の住所・署名・実印による押印です。実印である証明として、全員分の印鑑証明書の添付も必要となります。
後からトラブルにならないためにも、相続する財産の情報はできるだけ詳細に記載します。
【一般的な記載内容】
・故人の情報(氏名、亡くなった日、最後の住所、最後の本籍)
・相続内容(誰が何を相続するのか)
・相続人全員が合意したという文言
・合意が成立した年月日
・相続人全員の住所・署名・押印(実印)
・(添付書類として)相続人全員の印鑑証明書
遺産分割協議書が不要な場合
遺産分割協議書が不要な場合もあります。相続人が一人の場合や、相続税の申告が必要なく、相続財産が現金・預金のみの場合などは協議書の作成は必須ではありません。また、遺言書があり、その内容の通りに遺産分割する場合も協議書は不要です。
【遺産分割協議書が不要な場合】
・相続人が一人
・相続税の申告が不要で相続財産が現金・預金のみ
・遺言書どおりに分割する
最後に
相続税は、相続する人が税金を計算して申告・納付します。
まずは相続人が誰になるのかを確認しましょう。その後、相続財産がいくらになるのか算定します。相続財産は故人が所有していたもので、換金できるもの全てです。借入金や故人に課された税金で亡くなった後に納付するもの、葬式にかかった費用は財産の総額から差し引きます。
財産の総額を算定したら、申告が必要かどうかを確認します。財産が【3000万円+(600万円×法定相続人の数)】この額よりも少ない場合、申告は不要です。
相続税の申告が必要な場合は、相続人全員と話し合い、遺産分割協議書を作成しましょう。遺産分割協議書ができたら、申告・納付となります。
相続財産の評価や、申告については次のコラムで紹介したいと思います。
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