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相続人について

更新日:2023.05.17

はじめに

相続が発生したときに、相続人が誰になるのかを知ることはとても重要なことです。

ここでは、民法で定められている相続人の範囲と相続する順位や割合について、いくつかのパターンを例示しながら説明します。

 

相続人とは

厳密にいうと、相続人には「法定相続人」と「相続人」の2つがあります。

民法で定められた相続人を「法定相続人」といい、「相続をする権利をもつ人」を意味します。他方、「相続人」は亡くなった方の財産を引き継ぐ人です。

例えば、法定相続人が相続放棄をしても法定相続人のままですが、相続人は相続放棄をすると相続人ではなくなります。

 

法定相続人となる人

法定相続人は故人の配偶者、子、両親(直系尊属)、兄弟姉妹と定められています。

それぞれについて詳しく説明していきましょう。

 

配偶者

故人に配偶者がいる場合は必ず法定相続人となります。

ただし、内縁関係の場合にはなれません。

 

―内縁関係とはー

婚姻届けを出さず、夫婦として同居生活している状態を内縁関係といいます。

法的には夫婦ではありませんが、事実上の夫婦として、法律婚と同様の義務や権利が認められる場合があります。

例えば、内縁関係であっても相手方が不貞(いわゆる浮気)をした場合は、慰謝料の請求ができますし、内縁関係を破棄する場合(法律婚の離婚にあたる)には、財産分与の請求も認められています。

このように法的には夫婦ではないけれど、夫婦関係に準じた保護がされているのが内縁関係です。

しかし、相続においては内縁関係にあっても法定相続人にはなれません。

だたし、他に相続人がいない場合には、「特別縁故者」として相続できることがあります。

「特別縁故者」となるには、家庭裁判所へ申し出を行い、認められなければなりません。

内縁関係で相続をする場合には、遺言書を作成しておくなど、生前に対策をしておくのがいいでしょう。

 

故人と血縁関係にある「子」は法定相続人です。

婚姻関係にない男女の間に生まれた子(嫡出でない子)も同様に法定相続人となります。

ただし、血縁関係がなくても養子の場合は法定相続人になると定められています。

注意が必要なのは、配偶者の連れ子です。

養子縁組をしていない場合は法定相続人にはなりません。

 

養子について

養子には、普通養子縁組と特別養子縁組の2つあります。

普通養子縁組では、実の親と養親と両方の法定相続人となることができます。

一方、特別養子縁組は実の親との親子関係は失われるため、養親についてのみ法定相続人となります。

相続においては、どちらの養子縁組かによって取扱いに違いが生じます。

 

普通養子縁組の場合、法定相続人になれる数に制限があります。

亡くなった養親に実子がいる場合は1人まで、実子がいない場合は2人まで法定相続人となれます。

ただし、控除額を増やす目的で養子縁組をしているといったことが判明した場合、養子の子は1人として法定相続人と認められません。

 

【普通養子縁組の子が法定相続人となれる数】

養親に実子がいる…1人まで

養親に実子がいない…2人まで

 

特別養子縁組の子には法定相続人となれる数に制限はありません。

また、配偶者の連れ子を養子にしている場合も人数の制限は受けません。

 

両親(直系尊属)

「直系尊属」とは、故人よりも前の世代の血縁者をいいます。

つまり、両親や祖父母です。これらの人も法定相続人となります。

 

兄弟姉妹

故人の兄弟姉妹も法定相続人です。異母・異父兄弟姉妹も含まれます。

 

法定相続人の順位と法定相続分

法定相続人は、相続する順位と相続する割合が民法で次のように定められています。

 

相続する順位

※配偶者を除く相続順位

1位:子(代襲相続あり)

2位:両親(直系尊属)

3位:兄弟姉妹(代襲相続あり)

 

配偶者は必ず法定相続人となるので、順位には含まれていません。

下位順位者は上位順位者がいない場合に法定相続人となります。

つまり、1位の「子」がいる場合は2位の両親(直系尊属)は法定相続人にはなりません。

ただし、故人の「子」が既に死亡しているときは、孫にあたる人がなり、同じように、故人の兄弟姉妹が既に死亡しているときは、甥姪にあたる人が法定相続人になります。

このように相続する人が死亡しているため、代わりに下の世代が相続することを代襲相続といいます。

 

法定相続の割合

 

子、直系尊属、兄弟姉妹が複数いるときは、相続財産をその人数で均等に割ります。

 

例えば、配偶者と子3人が相続する場合、配偶者は1/2、子3人は1/2を3等分した1/6ずつを相続します。

ただし、異母・異父兄弟姉妹の割合は、配偶者との間にできた子の1/2になると定められています。

 

配偶者がいない場合も、順位は変わりません。

相続割合は、配偶者がなく子3人がいるのであれば、子が1/3ずつ相続します。

 

婚姻外の男女の間に生まれた子の法定相続分

婚姻関係の男女の間に生まれた子を法律用語で「嫡出子(ちゃくしゅつし)」といい、婚姻外の男女の間に生まれた子を「非嫡出子(ひちゃくしゅつし)」といいます。

かつての民法では、子の法定相続分について、非嫡出子は嫡出子の2分の1を相続すると定められていました。

この法律について、最高裁判所は法の下の平等を定める憲法14条に反するとして、平成25年9月5日に違憲判決を出しました。

子どもにとって選択できない事情や修正できない理由で、不利益な扱いを受けることを定めた法律を裁判所が認めなかったのです。

この最高裁判所の判決により、平成13年7月1日から違憲状態であったと認められ、既に確定している相続以外は、嫡出子と非嫡出子の相続分を平等に取り扱うこととされました。

つまり、現在は嫡出子と非嫡出子は区別なく平等に相続します。

 

最後に

相続人には民法で定められている法定相続人と、実際に財産を引き継ぐ相続人があります。

法定相続人は相続を放棄しても、法定相続人としての地位が残ります。

相続する人の順位と割合も民法で規定されています。

子どもが養子の場合やパートナーと婚姻関係にないなど、家族のかたちはさまざまですので、疑問や不安がございましたら、専門家である税理士にぜひご相談ください。

 

 


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