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無料で作れるエンディングノートとは? 遺言書との違いも解説

更新日:2024.08.20

はじめに

終活として、エンディングノートを作成する人が増えています。エンディングノートとは、自身の出生の記録や資産、葬儀や埋葬の希望などを記録するためのツールです。本屋さんなどで1,000~2,000円ほどで販売されていますが、無料で自分でも作成できます。ここでは、エンディングノートを無料で作成する方法や、記載内容、遺言書との違いについて説明します。これからエンディングノートに取り組もうとしている方は、参考にしてください。

 

エンディングノートとは

自身の万が一のときや、人生の最期を迎えたときのために、身の周りの情報を整理しておくのがエンディングノートです。これまでを振り返り、今後の人生を豊かにするために活用する方も少なくありません。万が一のときには、家族や周囲の人がエンディングノートを見て対応できるので、とても助かるでしょう。

 

無料でエンディングノートを作成する方法

エンディングノートを無料で作成する方法には、次の2つがあります。

〇自治体が無料配布しているエンディングノートを利用する

〇エンディングノートを自分で作る

それぞれについて説明します。

自治体が無料配布しているエンディングノートを利用する

自治体によっては、エンディングノートを無料配布しているところがあります。冊子としても受け取れますが、自治体のWebサイトからダウンロードできるようになっているところも増えてきました。

冊子の場合、きれいに製本されているので、項目を記入するだけでよく手軽です。ただし、用意された項目が足りないといったときに、ページを追加できません。また、何度も書き換えていると、どれが最新の情報なのかわかりにくくなってしまいます。他方、ダウンロード版であれば、必要なページを追加して印刷することが可能です。間違えたときも簡単に差替えられます。ご自身の好みに合わせて冊子版とダウンロード版を使い分けるといいでしょう。

自治体が作成しているエンディングノートには、もしものときの対処法や、公共サービスの連絡先などが記載されていることがあります。例えば、介護保険制度や救急病院の連絡先などです。そうした情報を得られるのも、自治体発行のエンディングノートならではと言えます。

エンディングノートを自分で作る

エンディングノートは自分で作れます。未使用のノートが自宅にあれば、そうしたものを活用するのも1つです。自分で作成すれば、途中に思い出の写真を張り付けたり、絵をかいたりと自由なページ構成にできます。ただし、情報は項目ごとにまとめて記載することが大切です。バラバラに記載すると、自分以外の人がエンディングノートを見たときに、正しい情報にたどり着けない可能性があります。最初のページにもくじなどを用意すると、わかりやすいでしょう。

エンディングノートは、保管場所を家族と共有しておく必要があります。万が一のときのためのノートなので、誰もわからないところに閉まっていては意味がありません。また、個人情報を詳細に記載しているので、取扱いには慎重さが求められます。エンディングノートの保管場所は、信頼できる家族だけに伝えましょう。

 

エンディングノートに記載する内容

エンディングノートには下記の項目を記載するのがおすすめです。

〇自分の基本情報

〇医療情報

〇公的情報

〇資産情報

〇支払情報

〇家族や友人の連絡先

〇終末期医療や葬儀の希望

〇遺言書の有無

これらの項目は、万が一のときやご自身が亡くなられたあとに必要となる情報です。できるだけ詳しく、正しく記載しましょう。

自分の基本情報

生年月日・住所・電話番号・携帯電話番号・メールアドレス・本籍地を記載します。特に本籍地は相続手続きに必要となるため、記載していると遺族の手続きがスムーズです。

この他、趣味や特技、食の好み、普段の生活習慣なども記載しておくと、例えば介護が必要になったときに参考になります。

医療情報

かかりつけ医の情報(病院名や医師名)・病気やけが、手術の履歴・アレルギー・服用している薬といった情報を記載します。既往歴についてはできるだけ詳しく、病名や治療期間、治療した病院名など記載しておきましょう。既往歴は、ご家族であっても把握していないことが多いものです。突然体調を悪くし救急で運ばれた際に、既往歴や服薬の情報があると、治療が早く始められます。

もし医療について希望があれば、医療の項目に一緒に記載します。例えば、病名や余命の告知の有無、救命や延命の希望、臓器提供の意思などです。意識がなくてもご自分の希望する医療を受けられるよう、準備しておくことも大切です。

希望する介護についてもまとめておきましょう。誰に介護してほしいか、介護保険への加入の有無、すでに受けている介護サービスがある場合は、その内容や担当者名などを記載します。

公的情報

公的情報とは、運転免許証やパスポート、保険証、マイナンバー、各種年金情報といったものです。それぞれの保管場所についても記載します。情報がまとめられていることで、ご家族がさまざまな手続きを行いやすくなります。

資産情報

預貯金(金融機関・支店・種類・口座番号・名義)、株や投資信託、不動産、保険契約、貸付金、借入金、クレジットカードといった資産の情報を記載します。不正利用防止のため、クレジットカードやキャッシュカードの暗証番号は記載しません。相続時には借入金も関係してくるため、記載が必要です。

資産情報は本人しか知らないことが多く、相続時には調査に時間がかかります。どういった資産があるのかだけでもわかると、相続人の手続きがスムーズです。ただし、これらの情報は重要な個人情報となるため、不安な場合は口座番号や保険証券番号はエンディングノートに記載せず、金融機関名のみを書くようにしてください。

支払情報

決まった支払がある場合は、その情報を記載します。近年はサブスクリプション型のサービスが増えており、定期の支払いがある人がほとんどです。どういった内容をどのように支払っているのか詳細に記載します。本人以外の人が一つずつ手続きを行うのはとても大変なことです。利用していることがわかるだけでも、周囲の人は助かるでしょう。

家族や友人の連絡先

緊急連絡先や、その他の家族、親戚、友人の連絡先を記載します。親戚や友人との関係性も記載しておくといいでしょう。家系図をつくれるときは、一緒に記載しておくと便利です。家系図があれば、相続時に相続人の確定が行いやすくなります。

葬儀の希望

葬儀の希望についても残しておきましょう。葬儀の要否・形式(家族葬など)・遺影のありなし・宗教・希望する会場などです。葬儀の準備は時間がないなかで行われるため、遺族にはあまり考える余裕がありません。本人の希望がはっきりしている方が、葬儀を執り行う側も助かることもあるでしょう。また、納骨や墓についても希望があれば記載しておきます。近年は樹木葬や海への散骨などを希望する方も増えているので、ご自身の最期をどのように家族に弔ってもらいたいかじっくり考えてみてください。

 遺言書の有無

遺言書は相続時に非常に大切になりますので、用意の有無について記載しておきましょう。遺言書がある場合は、自筆・公正・秘密のいずれかであるかも記しておきます。保管場所についても記しておくと、家族が確認しやすくなります。

 

エンディングノートと遺言書の違い

ここまでお読みになり、エンディングノートと遺言書は何が違うのかと疑問を持たれた方もいらっしゃると思います。エンディングノートと遺言書の違いは、主に次の3つです。

〇エンディングノートには法的拘束力がない

〇エンディングノートの書式は自由

〇遺産分割や管理については遺言書の作成が必要

それぞれ説明していきます。

エンディングノートには法的効力がない

エンディングノートには法的効力がありません。つまり、エンディングノートに書いたからといって、実行されることが確約されるわけではないということです。一方、遺言書は、相続・財産・身分に関する事柄について、法律でその効力が認められています。原則として、相続人は遺言書に従って遺産分割を行わなければなりません。また、遺言書を破いたり偽装したりした場合は、罪に問われます。それだけ遺言書は重要な文書として取り扱われるということです。

エンディングノートの書式は自由

エンディングノートはどういった書式で記載しても問題ありません。記載を誤っても訂正したり、修正したりできます。訂正印なども不要です。ただし、修正や取消しをしたことをはっきり記載しておかないと、読んだ人がわからなくなってしまいます。他方、遺言書の場合は、法律に従って変更を行わなければなりません。具体的には、訂正する箇所に二重線などを引き、正しい文字を近くに書き、訂正印を押下します。さらに、遺言書の末尾や訂正箇所の近くに、訂正した内容を改めて書き、署名が必要です。単に二重線で訂正しただけでは、その訂正は無効となります。変更方法が正しく行われないと、最悪の場合遺言書自体が無効となる恐れもありますので、遺言書の変更は慎重に行いましょう。

遺産分割や管理については遺言書の作成が必要

遺産分割を指定するのであれば、遺言書の作成が必要です。お伝えした通り、エンディングノートには法的効力がありません。従って、エンディングノートに遺産分割について記載しても、相続人はその通りに分割する義務がないのです。もし内縁の妻といった、相続人以外の人に遺産を渡したい場合は、遺言書がないとほぼ不可能となります。

遺言書の効果には、遺産分割以外にも、相続手続きを軽くするという側面もあります。遺言書があることで、遺産分割協議を行わずに済むからです。遺産分割協議は時間がかかることも多く、書類を作成するだけも骨が折れます。この手続きを省略できるのは、相続人にとってもメリットです。こうした遺言書の効果は、エンディングノートでは代用できませんので、エンディングノートとは別に、遺言書も作成しておくことをおすすめします。

 

さいごに

エンディングノートを無料で作成する方法と、記載する内容、エンディングノートと遺言書の違いについて説明しました。エンディングノートを終活の入り口として活用し、今後の人生がより豊かになるように、プランニングしてみてください。

ただし、エンディングノートには法的効力はありませんので、遺産分割については遺言書を作成する必要があります。遺言書の作成に不安があれば、相続に詳しい税理士や司法書士といった専門家にご相談ください。専門家ならではの視点でアドバイスをもらえるでしょう。

 

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