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準確定申告とは? 亡くなった人の確定申告は誰がするの?

更新日:2025.10.07

はじめに

亡くなった人の財産を相続する人には、税金の申告と納税をする義務があります。多くの人は相続税を思い浮かべますが、それだけではありません。 亡くなった人が生前に得た収入に対する税金も、相続人が代わりに申告して納めなければなりません。

この手続きを「準確定申告」といいます。

準確定申告の仕組みは、毎年2月〜3月に行われる「確定申告」とほぼ同じですが、いくつか違う点があります。

この記事では、準確定申告が必要な場合や、申告のやり方、必要な書類について解説します。


 

準確定申告って何?

準確定申告とは、亡くなった人のための確定申告です。 通常、確定申告は1月1日から12月31日までの1年間の収入について行います。

しかし、亡くなった人の場合は、その年の1月1日から亡くなった日までの収入について申告と納税が必要です。

 

準確定申告の期限

準確定申告の期限は、亡くなったことを知った日の翌日から4か月以内です。

通常の確定申告は翌年の2月15日〜3月16日に行いますが、準確定申告は亡くなった日によって期限が変わるので注意が必要です。

例えば、7月1日に亡くなったことを知った場合、申告と納税の期限は11月1日になります。 また、**相続税の申告期限(亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内)**とも違うので、間違えないようにしましょう。

 

誰が準確定申告をするの?

準確定申告をするのは、相続人です。

相続人とは、亡くなった人(被相続人)のプラスの財産(預金など)もマイナスの財産(借金など)も、すべて引き継ぐ人のことです。

相続人が何人かいる場合は、全員が準確定申告をする必要があります。 ただし、全員が別々に書類を出す必要はなく、1つの申告書に全員がサインをして、まとめて出すことができます。


 

準確定申告が必要なケース

亡くなった人が以下のどれかに当てはまる場合、準確定申告が必要です。

  • 個人事業主として働いていて、収入があった
  • 年間の収入が2,000万円を超えていた
  • 複数の会社から給料をもらっていた
  • 年間400万円を超える公的年金をもらっていた
  • 給料や年金以外に、20万円以上の収入があった
  • 生前に株や不動産を売って、税金を払う必要があった

もし、亡くなった人が毎年確定申告をしていたなら、準確定申告も必要になる可能性が高いです。


 

準確定申告が不要なケース

上記の「準確定申告が必要なケース」に当てはまらない場合は、準確定申告はしなくても大丈夫です。 会社員で給料をもらっていた人の場合、通常は会社が年末調整をしてくれるので、準確定申告は必要ありません。 ただし、相続放棄をした人は、最初から相続人ではないとみなされるため、準確定申告をする義務はありません。


 

準確定申告はしなくてもいいけど、した方がいいケース

準確定申告が不要な場合でも、申告をすることで**税金が戻ってくる(還付される)**ことがあります。 例えば、亡くなる前に高額な医療費を払っていたり、生命保険料などを払っていたりした場合は、それらが控除の対象になります。 戻ってくるお金は、準確定申告の期限を過ぎてしまっても、5年間は請求することができます。


 

準確定申告をしないとどうなる?

準確定申告が必要なのに申告をしないと、**「無申告加算税」「延滞税」**といったペナルティの税金が追加でかかります。 申告が遅れれば遅れるほど、払うべき税金が多ければ多いほど、ペナルティの税金も高くなるので、早めに申告と納税をすることが大切です。


 

準確定申告の進め方

準確定申告は、次のような流れで進めます。

  1. まず、亡くなった人の収入について、準確定申告が必要かどうか確認します。
  2. 必要だと分かったら、相続人のうち誰が申告をするかを決めます。
  3. 1つの申告書に全員でサインをして提出する場合、相続人それぞれの納税額を計算し、申告書に書きます。
  4. 税金は、相続人がそれぞれの相続分に合わせて納めます。
  5. もし税金が戻ってくる(還付金)場合は、相続分に応じて分配されます。相続人の代表者がまとめて受け取ることもできますが、その場合は他の相続人からの委任状が必要です。

 

準確定申告に必要な書類

準確定申告に必要な主な書類は以下の通りです。

  1. 所得税及び復興特別所得税の準確定申告書
  2. 確定申告書付表(亡くなった人についての情報などを書く書類)
  3. 準確定申告の確認書
  4. 委任状(代表者が還付金を受け取る場合)

これらの他に、亡くなった人の給料や年金の源泉徴収票、生命保険料などの控除証明書、医療費の領収書なども集める必要があります。


 

準確定申告の3つの注意点

準確定申告には、通常の確定申告と違う注意点が3つあります。

1. 戻ってきた税金は相続税の対象になる

準確定申告で税金が戻ってきた場合、その還付金は、亡くなった人の財産として相続税の計算に含める必要があります。 逆に、準確定申告で税金を納めた場合は、その分をマイナスの財産として計算することができます。

 

2. 医療費控除は亡くなった日までの分

準確定申告で控除できる医療費は、亡くなるまでに支払ったものに限られます。 入院中に亡くなり、まだ払っていない医療費があった場合、その分は準確定申告では控除できません。 ただし、その医療費を代わりに支払った相続人が、亡くなった人と一緒に暮らしていた場合は、その相続人自身の医療費控除として申告することができます。

 

3. 配偶者控除などは亡くなった日の状況で判断

配偶者控除扶養控除などは、亡くなった日の状況で判断します。 たとえば、亡くなった人が配偶者控除の条件を満たしていれば、その年の全額が控除の対象となり、月ごとに計算し直す必要はありません。


 

まとめ

準確定申告は、亡くなった人の確定申告のことです。

通常の確定申告とほぼ同じですが、申告の期限や申告する人などが異なります。

準確定申告で税金を納めたり、還付金を受け取ったりする金額は、相続税の計算にも影響します。

そのため、相続税の手続きと同時に進めると良いでしょう。

準確定申告は、亡くなったことを知ってから4か月以内という短い期間で行う必要があります。もし手続きに不安がある場合は、早めに税理士に相談することをおすすめします。

 

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