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子どもがいない夫婦の相続人は誰になる?とるべき対策とは〇〇〇!

更新日:2025.02.12

はじめに

総務省統計局の令和2年国勢調査によると、日本の世帯の約20%は夫婦のみの世帯です。少子高齢化が加速するこれからにおいて、子どもがいない夫婦のみの世帯は増加すると考えられます。そこで今回は、子どもがいない夫婦の相続について説明します。

子どもがいない夫婦で、一方が亡くなった場合、相続人は配偶者だけではありません。では、誰が相続人になるのか、どのようなトラブルが考えられ、防止する対策はあるのか、この記事を読んで参考にしてください。

 

子どもがいない夫婦の相続人は誰になるか

夫婦に子どもがいれば、相続人が配偶者と子どもになることは、多くの人が知るところです。では、子どもがいない夫婦の相続人は配偶者だけなのかというと、そうではありません。ここでは、子どもがいない夫婦の相続人について説明します。

相続人とは

相続人とは、亡くなった方の遺産を引き継ぐ人のことです。日本では、相続人になる順番が法律で決められています。配偶者がいる場合は、配偶者+相続順位上位者という組み合わせになります。相続順位は次のとおりです。

1位 被相続人(亡くなった人)の子ども

2位 被相続人の両親

3位 被相続人のきょうだい

順位1位の人がいないか、相続放棄を行うと、順位2位3位の人に順番に相続人の地位が移ります。もし後順位の相続人が誰もいない場合は、配偶者がすべてを相続することになります。

親やきょうだい、甥姪も相続人になる

子どもがいない夫婦の場合、配偶者の他に相続人となるのは、被相続人の両親やきょうだいです。民法には、代襲相続という決まりがあります。代襲相続とは、本来の相続人に代わって相続人となることです。例えば、相続人であるきょうだいが亡くなっている場合、そのきょうだいの子どもが相続人になります。つまり、被相続人の甥姪が相続人になるということです。代襲相続は甥姪までの範囲に留まり、その先には及びません。

前妻前夫との子どもも相続人となる

相続人となる子どもとは、現在の夫婦間の子どもに限りません。配偶者に前妻や前夫との間の実子がいる場合には、その子どもも相続人になります。子どもがいることを配偶者が知らなかったというケースもあるので、相続人を確定する際には、被相続人の戸籍をしっかり確認しましょう。

子どもがいない夫婦の相続で起こる問題

子どもがいない夫婦の相続では、次の2つのトラブルが考えられます。

・遺産分割協議が進まない

・遺産に現金が少ないと自宅売却の可能性がある

なぜトラブルになるのか説明します。

遺産分割協議が進まない

遺産分割協議とは、相続人の間で遺産をどのように分けるかを話し合うことです。遺産分割協議には相続人全員が参加し、協議内容に同意する必要があります。子どもがいないと、被相続人の親やきょうだいと話し合わなければならず、配偶者と子どもが相続するよりも時間がかかることが多くあります。この話し合いが進まないと、相続財産の預貯金を引き出すことや、不動産を売却して現金化することもできません。被相続人との生前の関係性によっては、協力してもらえないなど、遺産分割の手続きに非常に労力を使うことになります。

遺産に現金が少ないと自宅売却の可能性がある

遺産に現金が少なく、主な財産が自宅不動産のみである場合には、自宅を売却しなければならない可能性があります。現金を遺産分割するのは非常に簡単でわかりやすいのですが、不動産は複雑です。主な遺産が自宅建物と土地の場合、分割することが困難であることと、土地を分割すると価値が下がってしまう恐れがあります。そこで、不動産の遺産分割で行われるのが、代償金の支払いです。つまり、自宅に住み続ける配偶者が、遺産分割分の金銭を他の相続人に支払うことで分割します。このとき、配偶者が代償金を用意できればいいのですが、そうでなければ自宅を売却しなければなりません。

 

子どものいない夫婦の相続対策

上記のようなトラブルを回避するため、子どもがいない夫婦がとれる相続対策を4つ紹介します。

・遺言書を作成する

・財産を生前贈与しておく

・配偶者を生命保険の受取人にする

・家族信託を活用する

それぞれについて見ていきましょう。

遺言書を作成する

子どもがいない夫婦の相続対策では、遺言書の作成が有効です。遺言書では遺産分割の割合や、誰に相続させるかを指定できます。遺言書の法的効力も強く、遺言書で指定した相続方法は法定相続よりも優先して適用されます。例えば、遺産のすべてを配偶者に相続させると遺言書で指定していれば、被相続人の親族と遺産分割協議を行わずに済みます。ただし、相続人には遺留分といって、最低限の相続権を主張できる権利がある点に注意が必要です。遺留分がない被相続人のきょうだい以外、つまり被相続人の両親や祖父母が相続人である場合には、遺留分を請求される恐れがあります。

 財産を生前贈与しておく

生前に財産を配偶者に贈与しておく方法もあります。贈与した財産は遺産に含まれないため、遺産分割の影響を受けません。ただし、相続税の計算では、亡くなる7年前まで(2023年までに受けた贈与は3年)に受けた贈与分は、相続財産に加算する必要があります。また、年110万円を超える贈与を受けると、110万円を超えた分に贈与税がかかります。生前贈与を行う際には、こうしたことにも注意が必要です。

夫婦であれば受けられる贈与税の特例もあります。婚姻期間が20年以上ある夫婦が、自宅を配偶者に贈与する場合に受けられる配偶者控除です。基礎控除の110万円に加えて、2,000万円の贈与分まで控除が受けられます。自宅を配偶者に残したい場合には、この特例を活用した贈与も検討しましょう。

 配偶者を生命保険の受取人にする

生命保険に加入していれば、その受取人を配偶者にしておくことで、相続対策になります。生命保険の保険金は、受取人に指定された人の固有の財産となるため、遺産分割協議の対象とはなりません。従って、受取人に指定された配偶者のもとに確実に渡ります。配偶者は法定相続人なので、死亡保険の相続税非課税枠【500万円×法定相続人の数】も利用可能です。ただし、内縁の妻の場合は異なります。内縁の妻は法定相続人ではないため、非課税枠は利用できず、さらに第三者ということから、相続税の2割に相当する額を加算した税金を納めなければなりません。パートナーと内縁関係の場合には、ご注意ください。

家族信託を活用する

家族信託とは、財産の管理を家族に委託する方法です。権利者は、財産の管理を委託する人(委託者)・財産管理を任される人(受託者)・財産の利益を受ける人(受益者)の3者に分けられます。通常は親の認知症に備えて、活用されるケースが多いのですが、子どもがいない夫婦の相続でも利用可能です。

例えば、夫名義の自宅を、夫が委託者であり受益者、妻を受託者として家族信託します。信託契約では、委託者や受益者が亡くなった後の承継者についても指定可能です。夫の死後は妻が承継するといった内容の契約であれば、夫の死後は妻に自宅が受け継がれることになります。信託契約には遺言と同様の効果があるので、優先して適用され、遺産分割協議でもめることもありません。また、受託者を妻ではなく、夫の親族にしておき、夫の死後は妻が受益者となり、妻の死後は夫の親族となるように契約しておくことで、自宅を夫の親族に残すこともできます。

家族信託では贈与税はかかりません。受託者はあくまで管理する権利を有するだけなので、不動産収入がある場合でも、課税されるのは受益者です。同様に、相続税は受益権を承継した人に課されます。夫の死後、妻が受益者となる場合は、妻が相続税を負担します。

 

死後の手続きを専門家に依頼する

子どもがいない夫婦が高齢の場合、残された一方がさまざまな手続きを行うのは大変なことです。そこで、死後の事務手続きを依頼できる「死後事務委任契約」について紹介します。

「死後事務委任契約」とは

「死後事務委任契約」とは、死後に生じるさまざまな手続きを行ってもらう契約です。死後には葬儀や埋葬、行政手続き、お金に関する手続き、遺品の整理など行わなければならないことがたくさんあります。これらを代行してもらうよう、生前に契約することが可能です。ただし、遺産分割に関することや、誰に遺産を渡すのかといったことについては、死後事務委任契約ではできません。遺産分割については、遺言書の作成が必要です。

死後の事務手続きを依頼できる人に、特別な資格はいりません。友人や親せき、民間企業でも依頼できます。とはいえ、法的な手続きも多いことから、弁護士や司法書士、税理士といった法律の専門家に依頼するのがいいでしょう。また、契約書を作成したら、トラブルを防止する意味でも公正証書化しておくことがおすすめです。費用については、契約内容や受任者によって異なります。専門家に依頼する場合には、預り金として依頼者の生前に請求される場合もあるでしょう。依頼内容を明確にし、見積りをとるなどして、費用を把握してから契約することが必要です。

 

さいごに

子どもがいない夫婦の相続について、網羅的に説明しました。子どもがいない夫婦の相続では、被相続人の親族と配偶者が相続人になるため、手続きがスムーズに進みにくくなります。残された配偶者が居住する家を維持できない恐れもあるため、生前の対策は必須です。まずは、すぐに行える遺言書の作成から検討するのがいいでしょう。その上で、生前贈与や家族信託についても考えてみてください。

 

 

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