個人事業主が法人設立をした後の手続きについて

はじめに

個人事業主として事業活動を続けてきた方にとって、次のステップとなる「法人成り」については、株式会社か合同会社のいずれかを選択する場合が多く、形態の特徴や設立時の手続きにおいてそれぞれ違いがあるものの、税法においてはこの2社に大きな違いはありません。

この記事では、個人事業主が法人を設立した後の届出や手続きについて紹介します。

 

個人事業主から法人へ切り替えるときにやるべきこと

個人事業の廃業届と確定申告

個人事業の内容をすべて法人に引き継ぐ場合には、税務署へ個人の廃業届の提出が必要となります。ただし、法人に引き継ぐ事業が一部である場合には、個人は事業が縮小しつつも継続していることになりますので、廃業届の提出は不要です。

個人の廃業届を提出する場合、廃業の事実があった日から1月以内に廃業届を税務署に提出することになります。ここでいう「廃業の事実があった日」は、法人の事業開始日です。廃業をした場合でも、その年の確定申告はこれまでと同じ翌年3月15日までの提出となります。

消費税について課税事業者であった場合には、法人に引き継いだ事業の内容によっては課税方法の変更(原則課税から簡易課税へ)または、免税事業者への切り替え(2023年10月1日以降導入されるインボイス制度への対応を含めて)を検討します。

 

法人の開業届の提出

法人の登記が完了したら税務署や所轄の地方事務所に開業届を提出します。

税務署へ提出する書類は、任意提出の書類も含めて8種類あり、提出期限がそれぞれ異なるため提出期限が早い届出には特に注意が必要です。

 

 

個人事業の債権債務を法人へ引継ぐ

個人から法人へ事業を引き継ぐ場合、個人事業の期間に発生した債権債務も法人に引き継ぐことになります。法人の設立までに発生した売上や経費は個人に帰属し、法人設立後に発生した売上や経費は法人に帰属するので、その切り分けが重要です。債権債務は法人設立日の状況で個人から法人に時価で売却することになります。図で表すと下表のようになります。

 

 

個人から法人に引き継ぐ債権債務については、①金銭債権債務(売掛金や買掛金など)、②棚卸資産、③銀行からの融資、④固定資産、⑤リース資産がありますが、それぞれ注意すべき点があるので、確認をしていきましょう。

 

①金銭債権債務(売掛金や買掛金など)

個人事業のときに発生した売掛金や買掛金については、法人に引き継ぐことは債権譲渡となり法律上の手続きが発生するため、法人設立のタイミングも鑑みながら、個人での回収ないしは支払いをすることが望ましいです。

②棚卸資産

棚卸資産の法人への引継ぎは、個人から法人に販売をしたこととなります。個人側では売上を認識し、法人側では仕入を認識します。

③銀行からの融資

個人で借り入れていた借入金について、借入の原因となった事業が法人に引き継がれる場合には、借入の契約者を個人から法人に切り替える手続きを行うこととなります(法人成りの際は、事前に取引銀行との調整を行う必要がありますので、注意が必要です)。

本来であれば、一度個人との借入を精算(個人から銀行へ全額返済)し、新たに法人に貸し付け(法人口座に入金)されるのですが、実際は金銭の移動をすることなく、個人から法人に債務者が変更となる手続きを行うケースが一般的です。

この場合の法人での仕訳を確認すると「(貸付金:代表者へ)/(借入金:銀行より)」となり、法人は銀行への借入金の返済と利息の支払いを行いながら、代表者から貸付を回収する必要があります。個人と法人の資金繰りについて、問題がないかどうかシミュレーションをしておくとよいでしょう。

④固定資産

個人事業で使用していた固定資産(土地、建物、備品など)を法人に引き継ぐ場合は、個人から法人に時価で売却をしたこととなります。

個人では譲渡所得が発生したことになるので、確定申告が必要となります。

法人では中古資産の取得をしたことになるので、減価償却の耐用年数は中古資産を取得した場合として評価することになります。

⑤リース資産

個人で契約していたリース資産を法人に引き継ぐ場合は、リース会社との契約変更(個人契約から法人契約へ)を行うことが一般的です。

個人はリース契約の終了の手続きを行い、法人は中古資産の取得とリース期間満了までのリース債務の残高を引き継ぎます。

 

最後に

この記事では、法人成りをした場合に押さえておくべき、個人事業主から法人に切り替えるときの届出や手続きについて紹介しました。

法人を設立する場合には、事業に関する債権債務の引継ぎを行うため、その年の確定申告の内容を事前に確認することや、特に金融機関からの借入については、ご自身と会社の資金繰りも含めて問題なく移行できるかどうかシミュレーションすることが大切です。

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