法人の種類と設立費用について

はじめに

個人事業主として事業活動を続けてきた方にとって、次のステップとなる「法人成り」。税務的にはこれまでの所得税に追加して法人税の適用を受けることとなりますが、よく注目や検討をされるのは法人成りすることによる節税効果ではないでしょうか。

この記事では、法人成りするまでの手続きや設立費用について紹介します。

 

法人とは何?

まず「法人とは何者であるのか」という点から確認していきたいと思います。

日本では、民法第33条において法人はその成立を認められ、同法第34条において法人の権利と義務の範囲を定めています(令和4年4月現在)。生きている人間は、生まれながらに権利と義務を持つとされるのと異なり、法人は民法や他の法律によって、その存在が認められ、権利と義務の範囲が与えられますが、社会的信用度は人間と同様に高いものとなります。

 

法人の種類と設立費用について

法人の種類は、その行う事業内容(例えば、営利目的事業なのか公共事業なのか、法人の債務に対する責任の範囲など)によって選ばれる形態が異なります。

この記事では個人事業主が法人成りする場合に、よく検討される「株式会社」と「合同会社」について説明します。

 

株式会社とは

法人といえば株式会社を思い浮かべる方がほとんどだと思います。以前は株式会社を設立するには最低1,000万円の資本金が必要でしたが、現在では1円からでも設立が可能となり設立のハードルが下がったため、より「法人=株式会社」のイメージは強くなっているのではないでしょうか。

株式会社は、株式を発行することで出資者からの資金を調達し、事業活動をして得た利益は配当金として出資者に還元することが可能です。出資者の会社に対する責任は、出資した範囲内に限定されるため(有限責任)、万が一会社が倒産した場合であっても、出資した金額を失うだけとなり出資以上の責任を負うことはありません(ただし、法人が行った契約において、個人が連帯責任者となっている場合には、その契約については個人も出資の範囲を超えて責任を負うこととなります)

株式会社は認知度も高いため社会的な信用度も高く、自由な事業活動が許される一方、決算の公開義務や定款や株主総会の決議などによって行動の制約も受けるため、個人の判断ですべて決定できる個人事業主よりも窮屈な印象があるかもしれません。

 

合同会社とは

合同会社に似た存在として、合名会社と合資会社があります。いずれも「持分会社」という分類になり、出資者と経営は同じ人が行うとされる点が、株式会社における出資者と経営は別の人が行うとされる点と異なります。出資者と経営を同じ人が行うため、株式会社のような行動の制約も少なく、より自由な自治権が与えられています。

合同会社は持分会社の中でも、株式会社と同じ有限責任である点が特徴で、近年法人の新規設立でも合同会社の割合が増加しているため、以前は株式会社に劣るとされていた社会的な認知度も徐々に上がってきているといえます。

 

設立時の手続きとは

 

最初に決めることとして、株式会社であれば①法人名、②事業目的、③本店所在地、④資本金の金額、⑤決算月があり、全て後述の定款に記載する内容となります。合同会社もほぼ同じ内容となりますが、出資者となる社員の氏名や住所、社員全員が有限責任となる旨などの記載が必要となります。

①法人名は自由に決めて良いのですが、同名や類似が多い名称は避けた方がよいでしょう。②事業目的は、定款以外にも謄本や役所への届出などの公的機関のほか、自社アピールとしても扱う内容となりますので、事業内容がイメージしやすい文章が望ましいです。③本店所在地は、自宅の住所でも問題はありませんが、自宅が賃貸物件の場合には法人登記してもよいかの確認が必要です。④資本金の金額は、先述のとおり1円以上であれば法人設立は可能ですが、「資本金=会社の体力」のとして評価される側面もあることから、銀行や取引先への信用度も加味して設定するとよいでしょう。⑤決算期は、法人は事業年度の期間(1年以内に限る)を自由に設定することが可能です。売上の変動や、資金繰りなどを考慮して設定するのが望ましいですが、事業年度はあとから変更することも可能です。

これらの内容が決まったら定款の作成をし、株式会社については公証役場にて認証を受けます。定款は法人の名称をはじめとする基礎情報や、会社の活動に関する規則をまとめた書類となります。

定款作成後は、資本金の払い込みなどを行い登記に必要な書類を準備して、法務局へ登記申請をします。

登記が完了し謄本が取得できたら、法人口座の開設をして資本金を移し、税務や社会保険の届出などの法人の設立後の手続きを行います。

 

設立費用の比較

株式会社と合同会社の設立時の費用を比較してみましょう。

設立時に必要な費用としては、定款の認証費用、登録免許税、その他諸経費があります。

 

 

株式会社と合同会社の設立時の費用についてよく比較されるのは、合同会社は定款承認手数料が不要であることと、登録免許税が株式会社よりも少額であることです。

 

最後に

この記事では、法人成りをするにあたっての手続き内容を中心に紹介をしました。

個人事業主の開業と異なり、法人の開業手続きは法人という人格を新たに創り出すこととなり、法的に存在を認めてもらうための厳格な手続きが求められるものとなります。

法人成りの検討をするにあたっては、設立後の税金負担や法人になることで得られるメリットやデメリットを、明確にイメージし数字の面でも明らかにすることが必要となります。

税理士法人アイフロントでは、法人成りをする個人事業主の方のサポートも対応しています。お気軽にお問い合わせください。

 

 

 

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