
更新日:2025.12.05
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「遺留分(いりゅうぶん)」という言葉を聞いたことはありますか?
これは、「特定の相続人に法律で保証された最低限の相続分」のことです。たとえば、「全財産を友人Aに譲る」という遺言書があったとしても、配偶者や子どもは、この「遺留分」を請求できます。
ただし、この遺留分を「請求して受け取ったとき」、または反対に「請求されて支払ったとき」は、相続税の扱いに注意が必要です。手続きを間違えると、税金の申告漏れや払いすぎが生じる可能性があります。
この記事では、遺留分の基本から、請求・支払い時の相続税の扱いまでを、社会人1年目の方でもわかるように解説します。
相続では、亡くなった方(被相続人)の遺言書の内容が、民法で定められた相続の割合(法定相続分)よりも優先されます。
もし遺言書によって「配偶者や子どもに財産を一切残さない」となった場合、残された家族の生活が困ってしまうかもしれません。そこで、遺族の生活を保障するために、遺言書でも奪うことができない「最低限の相続分」として設けられた権利が遺留分です。
遺留分が認められているのは、亡くなった方と特に生活の結びつきが強い**「一定の相続人」**に限られます。
| 遺留分を請求できる人 | 遺留分がない人 |
| 配偶者 | 兄弟姉妹 |
| 子ども・孫(直系卑属) | 甥、姪(兄弟姉妹が亡くなった場合の代襲相続人) |
| 親・祖父母(直系尊属) |
💡 【ポイント】
- 兄弟姉妹には、遺留分が認められていません。これは、配偶者や子ども、親と違い、兄弟姉妹は亡くなった方に生活を支えられているケースが稀であり、生活保障の必要性が低いと考えられているためです。
遺留分侵害請求によってお金を受け取った場合も、相続財産として扱われ、相続税の対象になります。
相続税の申告期限(相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内)を過ぎた後に遺留分の精算が完了した場合、**追加で税金を払う(修正申告)**必要があるかどうかは、相手側(支払った側)の対応によって異なります。
| 遺留分を受け取った後の対応 | 必要となる手続き |
| 相手が「更生の請求」をした場合 (払いすぎた税金の返還手続き) | :財産が増えた分、「修正申告」をして追加で税金を納める必要があります。 |
| 相手が「更生の請求」をしなかった場合 | :修正申告は不要です。相続税の総額は変わらないため、税務署としては「必要な税金は納められている」状態になります。(実際には、当事者間で税金の増減分を調整することが多いです) |
修正申告が必要になった場合、その期限は「遺留分の額が確定した日の翌日から4ヶ月以内」です。
この期限内に手続きを行えば、ペナルティ(延滞税や加算税)はかかりません。期限を過ぎるとペナルティの対象になるため、期限をしっかり把握しておくことが重要です。
反対に、遺留分を支払った側は、当初の予定よりも相続する財産が減っているため、相続税を納めすぎている可能性があります。
| 遺留分が確定した時期 | 必要となる手続き |
| 相続税の申告期限前に確定した場合 | :特になし。最終的に取得した財産額に基づいて申告・納税を行えばOKです。 |
| 相続税の申告後に請求を受けた場合 | :納めすぎた税金を返してもらうための**「更生の請求」**ができます。(ただし、この手続きは任意であり、行わなくてもペナルティはありません。当事者間で精算することも可能です) |
💡 【重要】
- 更生の請求を行う場合も、期限は**「遺留分として支払う額が確定した日の翌日から4ヶ月以内」**です。
⚠️ 【申告遅延はNG】
遺留分が確定していなくても、相続税の申告期限(10ヶ月以内)が来たら、暫定的に法定相続割合などで申告・納税を済ませておく必要があります。申告を怠ると、延滞税や無申告加算税といったペナルティが課されてしまいます。
遺留分によるトラブルを防ぐためのポイントを解説します。
遺留分をめぐるトラブルの多くは、遺留分を無視した遺言書が原因です。
せっかく遺言書を書いても、遺留分を大きく侵害していると、その通りに財産が分割されない可能性があります。遺言書を作成する際は、配偶者や子どもに保証された遺留分を侵害しないように配慮することが大切です。
相続対策として生前贈与などを考える際も、遺留分を侵害しないように、弁護士や税理士などの専門家に相談しながら進めることをおすすめします。
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