更新日:2025.02.28
兄弟姉妹が相続人になるのは、故人(被相続人)に配偶者や子どもがなく、父母祖父母も亡くなっている場合です。ここでは、兄弟姉妹が相続人になるケースや法定相続分、兄弟姉妹の相続での注意ポイントなどについて解説します。兄弟姉妹の相続が発生した方や、今後の可能性を心配している方は参考にしてください。
相続人とは、亡くなった人の遺産を引き継ぐ人のことです。誰が相続人になるかは法律で決められています。兄弟姉妹が亡くなった場合、相続人が誰になるのかは、配偶者や子ども、遺言書の有無によって異なります。以下でケース別にみていきましょう。
亡くなった兄弟姉妹(被相続人)に配偶者と子どもがいれば、相続人は配偶者と子どもです。法律上、配偶者は必ず相続人となるので、配偶者がいる場合は配偶者と相続順位上位者という組み合わせになります。相続順位も法律で決められており、1位子ども(直系卑属)、2位両親(直系尊属)、3位兄弟姉妹という順番です。
被相続人に配偶者はいるが、子どもがいない場合、相続順位第2位である両親(または祖父母)が配偶者と共に相続人になります。両親が既に他界しているときは第3順位の兄弟姉妹が相続人です。
被相続人が独身の場合は、常に相続人となる配偶者がいないということになります。この場合、まずは子どもの有無を確認しなければなりません。子どもには、実子のほか、養子も含まれます。
被相続人に子どもがいるときは、子ども全員で遺産のすべてを相続します。相続人の間での分割割合については、子ども同士で協議して決定しなければなりません。相続人同士で遺産分割について協議することを、遺産分割協議といい、協議の結論を記した書類を遺産分割協議書といいます。遺産分割協議書には、相続人全員の同意に基づく署名が必要です。
被相続人に子どもがいないときは、相続順位第2位の両親(または祖父母)が、両親がいない場合は第3位の兄弟姉妹が相続人になります。相続人の間の手続きは「子どもあり」の場合と同様です。ただし、相続順位第2位の両親が相続する際には、その後の両親の相続も見据える必要があります。もし両親が高齢であれば、相続しないという選択もあるかも知れません。その際には相続放棄の手続きが必要です。相続放棄を行うと、相続人の地位は後順位の相続人である兄弟姉妹に移ります。相続放棄は、家庭裁判所に相続人となったことを知った日から3か月内に申立てなければなりません。口頭で放棄すると伝えただけでは法的には認められないので、ご注意ください。
遺言書があるときは、遺言書の内容が優先されます。例えば、遺言書で法定相続人以外を指定して相続させることも有効です。ただし、相続人(兄弟姉妹以外)から遺留分を主張される可能性があります。遺留分については後の章で説明します。
遺言書は自宅に保管されていることもありますし、公証役場や法務局に保管されていることもあります。法務局に保管がある場合は、相続人やその関係者に通知がなされますが、公証役場からは通知がありません。被相続人から遺言書があることを聞いていなかったときは、自宅を捜索すると同時に、公証役場に問い合わせてみましょう。もし自宅で遺言書を見つけたときは、開封してはいけません。自宅に保管されている遺言書は裁判所での検認手続きが必要です。勝手に開封すると、罰則を科されることもあります。
法定相続割合とは、法律が定めた遺産分割の目安です。あくまでも目安のため、法定相続割合どおりに分割を行わなくても問題ありません。ただし、遺産分割の基準となるものですので、以下で確認しておきましょう。
兄弟姉妹が相続人となった場合で、被相続人に配偶者がいる場合は、法定相続割合は次のようになります。
配偶者 3分の4
兄弟姉妹全員 1分の4
兄弟姉妹全員で1/4というのは、兄弟姉妹が3人だとすると、遺産を1/12ずつ相続するということです。他に相続人となる兄弟姉妹がいなければ、1人で遺産の1/4を受け継ぎます。
被相続人に配偶者がいなく、相続人が兄弟姉妹のみの場合は、兄弟姉妹が遺産の全てを相続します。相続人の中にすでに亡くなっている人がいるときは、その子どもが代わりの相続人です。
父や母が異なる兄弟姉妹がいる場合には次のことに注意が必要です。
・父が同じ兄弟姉妹がいる場合は、認知の有無を確認する
・親の相続では、婚姻関係にない男女の間の認知された子どもも、実子と同じ相続分になる
<父が同じ兄弟姉妹がいる場合は、認知の有無を確認する>
民法では、出産した女性と、その女性から産まれてきた子どもは親子であると考えられます。また、出産した女性と結婚している男性も、同様に子どもと親子です。しかし、婚姻関係のない男女の間に子どもが産まれた場合、女性は母と認められますが、男性はその子を自分の子と「認知」しなければ父にはなりません。つまり、認知されていない子は、父と法律上の親子ではないので、父が同じ兄弟姉妹が亡くなっても相続人にはならないのです。他方、産みの母には認知という考え方がないので、産みの母を同じくする兄弟姉妹が亡くなった場合は相続人になります。トラブルにならないよう、相続人の調査はしっかりと行いましょう。
<親の相続では、婚姻関係にない男女の間の認知された子どもも、実子と同じ相続分になる>
民法では、結婚している男女間に産まれた子を嫡出子(ちゃくしゅつし)、そうでない子を非嫡出子(ひちゃくしゅつし)とよびます。前述のとおり、非嫡出子は認知を受けなければ父子関係にはなれません。しかし、認知を受けた子は非嫡出であっても、嫡出子と同じ父子関係になれます。以前は、認知を受けていても、非嫡出子は嫡出子の半分しか父の遺産を相続できませんでしたが、現在は法の下の平等に反するとして法改正され、嫡出子・非嫡出子の区別はなくなりました。従って、父の相続においては、認知された非嫡出子と嫡出子は同じ法定相続割合となります。
兄弟姉妹の相続でトラブルになりやすいのは「兄弟姉妹の仲が悪い」「遺産が自宅不動産しかない」といった場合です。どういう問題が生じるのかそれぞれ見ていきましょう。
相続人同士の仲が悪いと、遺産分割がまとまらなかったり、そもそも遺産分割協議を行うことが難しかったりします。遺産分割協議は相続人全員で行う必要があるためです。遺産分割協議がまとまらないと、預金の引き出しや不動産の売却なども困難となります。特に不動産は、相続人全員の法定相続分に応じた共有状態となる点に、注意しなければなりません。共有状態のままにしておくと、共有者が自分の持ち分を勝手に第三者に売却するということもあり得ます。さらなるトラブルを防ぐためにも、遺産分割協議を早期にまとめるのがいいでしょう。仲の悪い兄弟姉妹と直接のやり取りが難しい場合は、弁護士や司法書士などに仲介を依頼することも可能です。相続税の申告が必要であれば、税理士に頼むこともできます。
遺産が自宅不動産だけの場合も注意が必要です。特に、被相続人に配偶者がいるケースでトラブルになることが多くあります。不動産を売却できれば、その売却金を相続人間で分けられますが、配偶者などその自宅に居住する人がいるときは簡単ではありません。代償金は不動産を相続する人が、他の相続人に現金で支払うことが原則です。つまり、配偶者が居住不動産を相続する場合は、他の相続人である兄弟姉妹に代償金を支払います。しかし、どうしても代償金を用意できない場合は、他の資産で受けとることや、代償金の分割受け取りも検討しましょう。
兄弟姉妹の相続には、特有の注意ポイントがあります。父母や配偶者が亡くなった際の相続にはないことですので、しっかり把握しておきましょう。
遺留分とは、法定相続人に保証された最低限の遺産取得分です。例えば、遺言書で1人の相続人に全てを相続させるとあっても、他の相続人はこの遺留分を主張して最低限の遺産を取得できます。しかし、兄弟姉妹にはこの遺留分の権利が認められていません。つまり、遺言書で「配偶者に全て相続させる」とあれば、兄弟姉妹は相続人であっても何も相続できないことになります。一方、被相続人の立場になると、遺言書さえ残しておけば、残された配偶者と兄弟姉妹が相続でトラブルを起こすことがないということです。
兄弟姉妹が相続人となる場合、その相続税は2割増しとなります。相続税法に、2親等血族者は相続税が2割加算されることが定められているためです。相続税を納める際に間違わないように注意してください。
相続人である兄弟姉妹がすでに亡くなっている場合、その子どもが代わりに相続人となります。被相続人からみて甥や姪にあたる人です。このように、死亡などの理由で相続権が失われた人の地位を継いで相続人となることを、代襲相続といいます。代襲相続は被相続人の甥姪までとなっており、それ以降はありません。代襲相続が発生するのは、相続人がすでに亡くなっている場合のほか、相続人としての資格がない場合も含まれます。
兄弟姉妹が亡くなった場合の相続について解説しました。兄弟姉妹の相続人は、配偶者や子どもの有無によって異なります。兄弟姉妹の相続人になった場合は、遺留分の請求権がないことや相続税が2割加算される点に注意が必要です。兄弟姉妹の相続ではトラブルになるケースも多いので、当事者間で話し合いが難しいと判断した際は早めに専門家に相談することをおすすめします。
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