個人事業主と税務調査 ~税務調査対策~

はじめに

事業活動をしている皆さんにとって「税務調査」が発生すると、何かを指摘されて、何かを支払うこととになり、その結果自身の経歴に何か履歴が残り…と「何か」困ることが起こるイメージがあるかもしれません。

結論を申し上げると、やるべきことをきちんとしていれば、税務調査があったとしても大きな問題になることはありません。

では「やるべきこと」とは具体的に何になるのでしょうか。

この記事では、税務調査の対策として取るべき対応について紹介していきます。

 

税務調査が入りやすい事業者とは

国税庁の資料で法人税の調査になりますが、不正が発覚しやすいとされる業種は、以下のようになっています。

【国税庁 令和2年事務年度法人税等の調査事績の概要(令和3年11月)から抜粋】

 

税務調査は、3~5年の周期で定期的に実施される納税者もいれば、一度も税務調査を受けたことがない納税者もいます。

その違いは何?と質問を受けることがありますが、一般的には以下の理由が大きいようです。

 

前回の税務調査で指摘事項がたくさんあった納税者

前回の税務調査で指摘事項が多く、修正申告による納税も発生している場合には、その後指摘事項が是正されたかどうか、確認も含めて3~5年後に税務調査が行われるケースがあります。

 

現金商売をしているので、現金管理が大変な納税者

銀行が管理してくれる預金と違い、現金は社内的に管理する必要があることから、計算ミスや盗難などが発生する可能性が高いです。上の表でも、バー・クラブ、飲食店、美容関係が上位にあるのも、現金で決済することが多く、管理上問題が発生しやすいためと推察することができます。税務官が現場での管理状況を確認し、不正や申告漏れがないかどうかの確認として税務調査が行われるケースがあります。

 

売上と仕入の紐づけの管理が大変な納税者

これは建築関連の方にあてはまることが多いのですが、その現場の売上と材料や外注さんを紐づけして、会計処理を行うことが求められるため、その処理にミスが発生するケースが考えられます。

毎年の申告では、売上とその売上に関連する材料や外注経費のみを集計し、その年の売上に紐づかない(翌年以降の売上に紐づく)先払いや後払い分は、翌年以降に集計して申告するという会計のルールがあるのですが、複数の現場を同時進行で対応している場合にはその管理が難しくなっていくため、その集計にミスが生じるリスクは高いと言えます。建設関係が上の表でも複数挙がっているのは、このあたりの要因もあると考えられます。

 

この数年で売上規模が一気に拡大した納税者

売上規模が一気に増加した場合には、取引件数や金額の増加に管理や経理処理が追い付いていない場合があるため、申告漏れがないかなどの確認として税務調査が行われるケースがあります。

 

同業種に共通する指摘事項が発生した納税者

税務調査は税務署内で全国的に情報が共有されます。特定の業種の納税者で同じ指摘事項が多発するような税務調査が発生すると、その業種に対しての税務調査が集中することも過去にありました。例えば、歯医者さんで使用済みとなった金歯を、買い取り業者に買い取ってもらったときの代金を売上として計上していなかったときなどは、全国的に歯医者さんの税務調査が行われたこともあったようです。

 

税務調査に強くなるために

税務調査が発生しても、すぐに追加納税が発生するわけではなく、調査官からの質問に丁寧に答え、資料の提出をすることで指摘事項はあっても修正申告無しで(追加納税無しで)調査が終了するケースももちろん存在します。

追加納税がない調査が終わった納税者は

・社内の事務フロー(売上・在庫・現預金などの管理方法)がルール通りに適正に運用されている

・契約書、請求書、領収書などの保管すべき書類が、漏れなく閲覧しやすい形式で保管されている

・売上と仕入や外注の紐づけが明確になっている(建築業など)

・現金決済から、電子マネー決済に変更するなど、不正や盗難のリスクを減らす対策を講じている

などの体制が整っていることが多い印象です。

ネガティブな印象のある税務調査ですが、見方を変えれば自社の弱点を確認する「経営の健康診断」と考えることもできるため、まずは上記の内容について自社ではどうだろうかと考えてみてはいかがでしょうか。

 

最後に

この記事では、税務調査の対応について紹介しました。

よくあるケースを中心に紹介をしましたが、ひとりひとりの状況は違うため、対策すべき内容もひとりひとり異なると思います。自分のケースだとどうなのだろう?と思われた場合には、ぜひ税理士に相談をするようにしてください。状況を伺いながら、すぐに対策すべきことや、今後徐々に対応することなど、「あなたにフィットする」アドバイスを受けることができると思います。

税理士法人アイフロントでは、個人事業主の方の税務対応を多数対応させていただいております。

不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。

 

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